日ごろの度重なる鰹節の手削り体験で削り器の鉋(かんな)の刃も少しヘタってきました。
今日は勤労感謝の日でお休みですが、削り器に勤労感謝の意を込めて刃を砥いであげることにしました。
まずは砥石を水に浸けておきます。 そして鉋(カンナ)の頭を叩き刃を浮き上がらせます。
この時完全に外れてしまうまで 叩くと刃が落下して怪我のもとになるので、最後は手で抜き取るようにしなければなりません。
ご覧のように世界で一番硬い食品と言われる本枯れ節を相手にしていると鋭さが失われています。
角度を確認して真っ直ぐに上下に移動させながら砥ぎます。
普通は1000番の砥石だけでで充分ですが、刃が大きく欠けているようなら少し数字の小さい番号の砥石から砥いでいきます。
私は昔からこの作業が大好きです。砥石と鉋の刃先に集中し砥いでいると、侍が刀の手入れをしているような空気になり、気付けば何かに取り憑かれたように背筋が伸びて姿勢良く無心になって砥いでいます。
指の指紋を刃先に当てて引っかかり具合で仕上がりを確認し、最後に“返り”を取るためにカンナの裏面を軽く砥石にあてます。
私はプロとして仕上げは6000番の砥石で丁寧に仕上げています。すると…
鏡のように周りの景色が写るほど ←やりすぎ?
刃をカンナに装着して、刃を出しすぎないようにしてから少しづつカンナの下を叩き、刃を出しながら調節していきます。刃が出過ぎると鉋の頭を叩いて戻します。
古い削り器でもカンナの刃さえ綺麗に砥いであげると新品同様 いや、新品以上の削り器になります。
最終調整は実際に本枯れ節を削りながらの調整になります。
空堀商店街の丸与の店舗にはたくさんの古い削り器がありますが、私が全部このように刃を砥いで万全の状態にしてあります。
鰹節削り器で綺麗な花かつおを削るためには四つの条件を揃えてあげなかればなりません。
まず、質の良い“節”・よく切れる鉋の刃・鉋の刃の調整・ 削り方です。
削り方は全国鰹節類青年連絡協議会のホームページの中に私が情報宣伝委員長として削り方を掲載いたしておりますのでこちらを参照して下さい。
本日は最近使用した2台の削り器の鉋(カンナ)の刃を砥ぎました。
これでしばらくまた手削り体験で活躍してくれるでしょう。
また、ご家庭でも鰹節の中でも最も風味豊かで旨味もある本枯れ節を自分の手で削って食べてみたいという方はコチラから!