2013年12月4日に「和食」が、ユネスコの無形文化遺産に登録されました。今や世界から注目されている和食です。また和食は訪日外国人のお目当てのひとつになっています。
その和食に欠かせない、和食のエッセンスといえるのが「だし」です。だしは種類も多く、料理によって使い分けられているのです。今回は、どれを使えばよいのか、料理に合わせただしの選び方を解説します。
だしの種類
「だしのうま味が料理のおいしさを左右する」ともいわれるように、日本料理のおいしさは「うま味」で、だしによります。
また、うま味とは、甘味・酸味・塩味・苦味の次にくる5番目の味です。うま味成分は「グルタミン酸」「イノシン酸」「グアニル酸」の3種類がメインです。以下で、和食の代表的なだしを紹介します。
鰹だし
和食を代表するだしといえるのが、鰹節から抽出する鰹だしです。芳醇な香りとうま味があり、上品な味わいとなります。鰹節は薄削りや厚削りなど削り方で使い方が変わり、それぞれ風味や用途が異なります。なお、鰹節に含まれるうま味成分はイノシン酸です。
昆布だし
昆布だしは、干した昆布から抽出するだしで、鰹だしと並び和食の人気だしです。意外とあっさりとしていて、隠し味的な利用もできます。それだけ「だし」に徹し、メインの食材の味を邪魔しません。昆布にはグルタミン酸という、うま味成分がたっぷりと含まれています。
煮干しだし
煮干しだしは、いりこだしともよばれ、魚介系のだしです。煮干しは小魚を干したものです。一般的にはカタクチイワシがよく使われ、頭や内臓を取らずにそのまま使うと、苦味を感じることがあります。煮干しだしには、イノシン酸が含まれています。
椎茸だし
椎茸だしは、干し椎茸から取るだしで、椎茸ならではの風味と味わいがあります。椎茸は大別すると、厚みのある「冬菇(どんこ)」と、肉が薄い「香信(こうしん)」です。だしはどちらからも取れます。椎茸だしのうま味成分はグアニル酸です。
あごだし
あごだしはトビウオから取るだしです。あごだしは九州はじめ西日本でよく使われています。トビウオは脂質が少なく、だしはあっさりと上品なうま味が特徴です。高級品のだしとして扱われています。
比較的あっさりしていますが、ほどよいコクもあります。あごだしのうま味にはイノシン酸とグルタミン酸が含まれており、奥深いおいしさです。
料理に合わせただしの選び方のポイント
だしの使い方に細かいルールはありませんが、それぞれのだしがもつ個性や特徴が活かされる料理もあります。料理の特徴も加味してその料理に合うだしを選び、おいしい料理を作りましょう。以下で、それぞれのだしが活きてくるおすすめの料理を紹介します。
鰹だしに合う料理
鰹だしのうま味が活かされる料理はお吸い物や味噌汁です。とくに豆腐やわかめのようなあっさりした具材の汁物に向いています。また、麺類のつゆにも最適で、うどんやそばのつゆには欠かせません。さらに、鰹だしは煮物や鍋物、炊き込みご飯にも向いています。
昆布だしに合う料理
昆布だしがよく合う料理も多くあります。昆布だしはスッキリとした味わいで、松茸のお吸い物など、汁がメインの料理によく合います。昆布の上品な味わいが活きて、具材の風味も楽しめるのです。
昆布だしはシンプルな味わいだけに、魚介類や肉に野菜など、どのような具材とも相性がよいのです。そこから、寄せ鍋や牡蠣鍋によく合います。さらに、だしとして鶏肉の水炊きやしゃぶしゃぶにもおすすめです。
煮干しだしに合う料理
煮干しだしは味噌汁によく合うことが知られています。煮干しの特徴が味噌に負けずに、コクをだします。味噌汁でも、とくに具だくさんのメニューにおすすめです。また、最近は煮干しラーメンが人気で、ラーメンスープに煮干しを使う店が増えています。
椎茸だしに合う料理
椎茸だしは、椎茸を干した状態で使われることが大部分です。椎茸のうま味成分は、生の状態でグルタミン酸があり、干すことでグルタミン酸が増え、グアニル酸が生まれます。
椎茸だしは煮物によく合い、とくに大根やにんじんなど、うま味をしっかり吸い込む根菜が最適です。また、がんもどきや高野豆腐、厚揚げなどもよく合います。炊き込みご飯にも使えます。
あごだしに合う料理に
あごだしは、あごが落ちるほどおいしいという方がいるほど、コアなファンが多く、上品で深いコクが特徴です。味噌汁や吸い物に茶碗蒸しなど、だしをそのままいただく料理によく合っています。また、あごだしは具材にたっぷりのだしを染み込ませる、煮物や鍋にもおすすめできます。
さらに、じっくり煮込むおでんや炊き込みご飯などにもよく合うのです。もちろん、ラーメンやうどんなどの麺類にも使えます。あごだしを使う名物料理といえば、あごだしの本場、長崎県の「五島うどん」が有名です。
合わせだしもおすすめ
だしには、基本的な使い方はありますが、絶対的な決まりはありません。さまざまな料理に、どのように使ってもよいのです。かつおと昆布の合わせだしはアミノ酸系のグルタミン酸と、核酸系のイノシン酸の組み合わせとなって相互に相性がよく、一緒に使うことで相乗効果を発揮し、うま味がアップする効果も期待できます。
和食のうま味成分は単独で使ってもおいしいのですが、肉と野菜などの異なるうま味成分が含まれた食材を組み合わせて使うことで、よりうま味を強く感じられるようになることもあります。「うま味の相乗効果」が発揮されておいしさが広がるよう、合わせだしも使いましょう。
まとめ
和食の伝統が生んだ「だし」について、さまざまな種類のだしや、料理に合わせただしの使い方を紹介しました。だしは自由に使えるだけに、いろいろなだしを組み合わせて、自分好みの新しいうま味をみつけることもできます。日本人の食文化の叡智ともいえる、だしを賢く使って、おいしい料理を作りましょう。
「丸与有限会社」は大阪市中央区谷町にあります。創業250年余りの歴史を誇る老舗の鰹節専門店です。よい意味で食にうるさい大阪の方や、多くのご家庭よりご支持いただいております。当社は、いつの時代でも変わることのない「食べることへの幸せ」を影より支えて参りました。
時代の移り変わりにともなう食のニーズに対し、風味と使い勝手が共存した品をご用意させていただいております。当社は全国各地の良質な鰹節、削り節をそろえ、ほんまもんの味を提供させていただいております。ぜひご来社下さい。また、ご贈答用の商品も用意しており、全国発送も承ります。